口内環境は大切、整えて健康につなげよう!
口の中を清潔にすべき理由
「何のために歯を磨くのか?」
多くの人は「虫歯予防」「歯周病対策」「口臭予防」あるいは「エチケットとして」と答えるのではないでしょうか。
その答えは間違いではありませんが、それにもまして歯磨きをすることで大きな恩恵があります。それは多くの病気を未然に防ぎ、ひいては命を守ってくれるということです。口の中を清潔に保てば、死亡率も下がることがわかっています。
唾液の分泌
口の中では通常、1日で1リットルから1.5リットルの唾液が分泌されています。唾液には殺菌や抗菌作用があるため、口の中は比較的きれいな状態を維持しています。
ところが、睡眠中は唾液の分泌はほとんどなくなります。そのため寝ている間の口の中の細菌は日中の10倍以上も増殖しているといわれています。
朝起きたときに、口の中がねばねばしてすっきりしなかったり、口臭が気になるのは、唾液が出ないことによって口の中で細菌が増殖してしまった結果といえるのです。
朝起きてすぐ歯磨きが良い
朝起きてすぐの歯磨きが、こうした細菌の体への侵入を防ぐために、とても効果的な方法であることを知ってほしいと思います。
歯周病
口の中の細菌は虫歯や歯周病の原因になります。さらに歯周病はサイレント・キラー(静かな殺し屋)と呼ばれ、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、認知症など全身の病気と密接につながっています。つまり、口はほとんどすべての病気の入り口ともいえるのです。 歯磨きは、こうした全身の病気を防ぐだけでなく、高齢者に多い誤嚥性肺炎を防ぐこともできます。
誤嚥性肺炎
誤嚥とは、食道に嚥下(えんげ=ごくっと飲み込むこと)されるべき食べ物が、誤って気管に入って肺のほうにいくことです。高齢者の肺炎の原因の90パーセント以上が誤嚥性肺炎といわれています。
のど(咽頭部)の反応は加齢とともに悪くなるため、高齢になると誤嚥を起こしやすくなります。歯や舌、あごやのどの筋肉など口腔内の機能が衰えてくると、誤嚥以外にも次のようなさまざまな症状が起こってきます。
- 食事中によく咳き込む
- よく食べこぼす
- 食べ物を口の中にため込む
- 食べ物をのどにつまらせる
このような飲み込む機能が衰えている人の誤嚥防止の対策として、まずおすすめしたいのは「おしゃべり」です。これは誰にでも、いつでもどこでもできる一番簡単な方法です。じつは食べ物を飲み込むときと、おしゃべりをするときは同じ筋肉を使っているのです。
一日中、ほとんど話をしないという状態が続くと、飲み込む機能が低下してしまい、誤嚥が起こりやすくなります。そのほかカラオケで歌うのも、のどの筋肉を鍛えることになり、誤嚥の予防になります。